2013年4月6日土曜日

電子書籍 各ストア 出版社別 冊数調査(2013/04/06)

  おはようございます。

 月に一度の定点観測です。
 この一ヶ月、電子書籍界隈も、いろいろなことがありました。ちょっとだけそれを踏まえつつ、配信数調査の結果を報告したいと思います。

配信数推移

まずは、調査開始からの21社配信数の推移から。

 

 先月の報告では、ebookjapanが、数の上で紀伊國屋書店に追いついたとお知らせしました。両者は、数週間併走した後、ebookjapanがスパートをかけて、一気に突き放しにかかりました。
 紀伊國屋も負けじとスパートをかけ、小学館コミックの配信を開始。大きく配信数が増加しています。
…って、別に、両者がはりあっているわけではないと思います。たまたま、この一ヶ月で大幅な動きがあったのがこの2社だったというだけで。

 ということで、今月一ヶ月で、配信数の面で、最も特徴的な出来事は、ebookjapanのさらなる配信増と、紀伊國屋書店での小学館コミック配信開始です。

 ほかに、おもしろいところでは、Bookwalkerの増加ペースが、ここ1ヶ月ほどは増しています。もともとは角川グループ専業だったBookwalkerが、グループ外作品の配信も増やしているのが原因です。


 それ以外のストアはおおむね、これまで通りのペースで着々と増加しています。
 その結果、Reader Storeがebookjapanに抜かれました。

各月・各ストアの増加数

もう少し、別の側面から見てみます。



 調査開始からの各月・各ストアの増加数です。

 ebookjapanのこの1ヶ月の増加数は、約13,000冊です。
 この増加数は、これまでで一番多かった昨年12月のKobo(約6,700冊)の倍です。下手したら、ストアが1個、新しく始められるぐらいです。

 紀伊國屋の今月の延びも昨年12月Koboに匹敵するほどで、相当大きいです。こちらは、次で述べます。

 Bookwalkerの1ヶ月間の増加は2,000冊程度で、他ストアの平均的なペースです。つまり、他ストアをおびやかす品揃えになるペースではありません。コミック・ラノベを中心とした独自路線を続けるのはこれまでと同様ということだと思われます。

 他のストアは、ほぼこれまで通りのペースですが、Koboの増加数は少し鈍り気味でしょうか。先発組のストアとそれほど変わらない2000冊程度の増加数に落ち着いています。
 Koboについては、三木谷社長の「数を追い求めるより、売れ筋の本に注力していく」という趣旨の発言もあったようですが、このあたりの状況を踏まえてのことかも知れません。

今月の増加数内訳




 今月1ヶ月間の増加数の内訳です。

 ebookjapanは、徳間書店、光文社、集英社、学研、PHP研究所、富士見書房、文芸春秋といったあたりで大幅に増やしています。
 角川グループの配信増については、プレスリリースも出ています。昨日4/5のライトノベル配信開始に加えて、来週の金曜日からは文芸書・ビジネス書を配信開始するとのこと。
 もともと、コミック中心だった同ストアが、非コミックに本気を出したら、こうなった…という形です。

 紀伊國屋書店は、Webストアのリニューアルと同時に、これまで配信していなかった小学館のコミックの配信を開始しました。これが、約3,000冊になります。
 紀伊國屋書店は、再ダウンロード制限を設けない方針で運営されており、5年の制限を設けることの多い小学館コミックは配信していませんでした。今回、紀伊國屋は、小学館コミックを、再ダウンロード制限がない形で配信を開始しました。
 今後、このような形で、他のストアでも再ダウンロード制限が撤廃されると良いですが…。

 Bookwalkerは、講談社、秋田書店の増加が大きな割合を占めます。
 講談社、秋田書店ともに、3月の調査で配信が本格的に開始され、今月、そこからさらに増やしてきています。

現状の配信数内訳

つづいて、現状配信数の内訳です。




 小学館のコミックを配信開始した紀伊國屋ですが、まだ、小学館の冊数は他のストアよりは少なめのようです。
 ebookjapanは、いくつかの出版社で、トップレベルの品揃えになってきています。

未配信出版社状況



【各ストア未配信出版社(2012/04/06現在)】
Reader Store:筑摩書房
GALAPAGOS STORE:角川書店,富士見書房,アスキー・メディアワークス,筑摩書房,エンターブレイン
紀伊國屋:ソフトバンククリエイティブ
ebookjapan:ゴマブックス,新潮社,筑摩書房,(中央公論社15)
Kindle:徳間書店,白泉社,筑摩書房,岩波書店,(少年画報社22)
Kobo:徳間書店,光文社,白泉社,筑摩書房,岩波書店,(東京創元社10)
Bookwalker:徳間書店,光文社,集英社,双葉社,学研,中央公論社,ゴマブックス,新潮社,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版,早川書房,筑摩書房,岩波書店,幻冬舎,朝日新聞出版,河出書房新社,東京創元社,扶桑社,二見書房,少年画報社,(PHP研究所12,主婦の友社23)
Booklive!:筑摩書房

【配信開始分(2012/03/02→2013/04/06)】
ebookjapan:光文社(0→3585),PHP研究所(1→1810),アスキー・メディアワークス(25→199)
Bookwalker:小学館(0→50)

 ebookjapanの非コミックへの重点策がこちらでも見て取れますが、まだ、何社か、未配信の出版社が残っています。逆にいえば、それだけ、まだ増やす余地があるということで…。
 角川グループ専業から、他出版社へと配信を広げているBookwalkerですが、小学館から50冊ほど配信を開始しています。すべてラノベレーベル「ガガガ文庫」のものでした。

まとめ

  • ebookjapanが、めちゃくちゃ配信数を増やしている。
  • 紀伊國屋が小学館コミックの配信を開始。
  • Bookwalkerは他グループへ手を広げて、配信数増加中。
    ただし、「ラノベ・コミックメイン」という立ち位置はくずさなそう。
以上。

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