こんばんは。
電子書籍ストアの配信数調査の定期更新です。
…が、タイトルにあるように、まずお知らせを。
Kindle上陸直後の2012年11月から毎月1度のペースで更新してきたこの調査結果ですが、今回で最終回としたいと思います。
調査開始当時、電子書籍の配信数は充分と言える状況ではなく、また、電子書籍ストアごとにバラツキも大きい状況でした。その一方で、写真1枚など「書籍」と呼べないようなもので水増しするストアがあるなど、ユーザーにとって各ストアの配信数規模の把握が難しいという問題がありました。
そのため、「大手出版社の配信数をカウントすることで、「書籍」の配信数の目安と出来ないか」と考え、この調査と報告を始めました。
しかし、現在では、各ストアでの電子書籍の配信が充実し、大手出版社についてはほぼ横並びの状況になっています。また、配信が充実したことから、相対的に水増し的コンテンツの有無は問題にならなくなっています。
また、電子書籍では、個人出版など、大手出版を通さない動きが活発化しており、大手出版社の配信数のみをカウントすることの意義は薄れています。
以上、一口で言うと、「(こういった調査に意義があった)電子書籍黎明期の終わり」というのがこの定期報告を終える理由です。
約3年という長いようで短い期間でしたが、お世話になりました。
特に、BookLive!の配信数を継続的にカウントしてくださった「匿名」さん(弊ブログコメント時の記名)には感謝の言葉もありません。
このブログは残しておいて、今後、なにか気が向いたら更新する日もあるかも知れません。
(当初は、もうちょっといろいろ更新するつもりだったはずなのに…(汗))
ということで、今回は、ちょっと増量。
この3年間の変化を中心に振り返ってみようと思います。
配信数の推移
まず、初めに調査対象出版社合計での配信数推移です。
この1ヶ月も順調に増加しています。
2014年あたりは、それなりに動きがあったんですが、2015年に入ってからは本当に安定してますね。
今回は、せっかくなので、出版社ごとの内訳もグラフにしてみました。
すべてのストアを出しても煩雑なので、Kindleで見てみます。
様々な出版社の配信数が増加し、全体として配信状況が充実する様子が見て取れると思います。
この1ヶ月も順調に増加しています。
2014年あたりは、それなりに動きがあったんですが、2015年に入ってからは本当に安定してますね。
今回は、せっかくなので、出版社ごとの内訳もグラフにしてみました。
すべてのストアを出しても煩雑なので、Kindleで見てみます。
様々な出版社の配信数が増加し、全体として配信状況が充実する様子が見て取れると思います。
配信数変化
調査開始当時と現在の配信数を比較します。
各ストアの出版社別配信数について、左側に調査開始当初、右側に最新の配信数を並べています。
調査開始当初は多いストアでも4万冊程度でした。それが、今では、14万冊前後に増加しています。大手出版社の分だけでも、10万冊の増加を果たしたことになります。
当時は、ストアごとのバラツキが非常に大きく、2012年以前から先行していたhonto、Reader Store、GALAPAGOS STORE、紀伊國屋の4ストアに対して、上陸直後のKindleは頭1つ、Koboに至っては頭3つぐらい(?)遅れていました。また、当時は、eBookJapanは文芸に本格参入する前でしたし、BookWalkerも角川グループ専業でした。
現在では、大手出版社については、ほとんどのストアでほぼ同じ品揃えが実現できていると言えます。
数もかなり並んでいますし、出版社の構成もほぼ似通っています。
改めて見ると、当時のKoboがいかにヒドかったかというのがよくわかる一方、現在では配信数の面では、まったく問題がなくなっていることもわかります。
XMDFやドットブックといった日本独自の規格を使用せず、制定された直後だったEPUB3のみで配信するという判断が、スタートダッシュに失敗するという問題は招いたとは言え、結果的に間違っていなかったということの現れだと思います。
配信構成比の変化
配信状況の変化を、出版社の構成比で見てみます。
多くのストアで比較しても煩雑になるので、2012年以前から先行していたストアの例としてReader Storeで見てみます。
Reader Storeでの2012年末当時と現在の出版社構成比です。
構成比が増しているのはこの3年の間で本腰を入れ始めた出版社、下がっているところは2012年以前から頑張っていた出版社ということになります。
まず目につく出版社としては、講談社の構成比が大きく下がっており、2012年以前から頑張っていたことがわかります。今でも積極的ですが、他の出版社が力を入れて相対的に構成比が下がっています。
他には、KADOKAWA系、文藝春秋、祥伝社などが2012年から力を入れていた組です。
それに対して、小学館、集英社は、この3年で力を入れた出版社になります。
多くのストアで比較しても煩雑になるので、2012年以前から先行していたストアの例としてReader Storeで見てみます。
Reader Storeでの2012年末当時と現在の出版社構成比です。
構成比が増しているのはこの3年の間で本腰を入れ始めた出版社、下がっているところは2012年以前から頑張っていた出版社ということになります。
まず目につく出版社としては、講談社の構成比が大きく下がっており、2012年以前から頑張っていたことがわかります。今でも積極的ですが、他の出版社が力を入れて相対的に構成比が下がっています。
他には、KADOKAWA系、文藝春秋、祥伝社などが2012年から力を入れていた組です。
それに対して、小学館、集英社は、この3年で力を入れた出版社になります。
配信増加ペース
今回、月ごとの配信数の増加量をグラフにしてみました。
最近では、増加ペースはどのストアもだいたい同程度なので、代表としてKindleで見てみます。
(※私の調査は毎週土曜日にデータを取っており、下のグラフでは、月初付近の土曜日を基準に1ヶ月としています。そのため、実際のその月の配信増加数とはズレている可能性があります。また、週単位で入荷するため、4週または5週の差でのバラツキが入らないように4週相当に補正してあります)
最初の頃は、未配信の出版社もあったため、その分が一気に入荷して、大きな動きになっています。2012年11月の文藝春秋、2013年6月の小学館・白泉社などが典型的です。
その後、徐々に配信数が落ち着き、今年度に入ってからは月間2000冊程度の増加で安定しています。
昨年4月からの平均で見ると、配信増加ペースは以下のようになっています。
- 講談社 450冊程度
- 小学館 300冊程度
- 集英社 200冊程度
- 白泉社、PHP研究所、幻冬舎、角川書店、アスキー・メディアワークス 100冊程度
出版社ごとに、安定して増やす出版社(講談社・集英社…)、波のある出版社(小学館…)など、様々な特徴があることがわかります。
現状配信数
ある程度の差が見られますが、この差も、実際のコンテンツ量を反映しているかは怪しい部分もあります(セーフサーチの程度、マイクロコンテンツなどの配信形態、ヒット数でのセット品の扱い etc…)。ストア間の差が縮まって、そういった部分が無視できなくなってきたのも、調査をやめる理由の一つです。
未配信出版社
各ストアでの未配信出版社の状況です。
【各ストア未配信出版社(2016/01/02現在)】
GALAPAGOS STORE:角川書店,富士見書房,アスキー・メディアワークス,エンターブレイン
Bookwalker:新潮社,岩波書店,幻冬舎
【配信開始分(2015/12/05→2016/01/02)】
なし
GALAPAGOS STOREでKADOKAWAが、BookWalkerで新潮社・岩波書店・幻冬舎の3社が未配信という状況です。
また、ここには現れないですが、BookWalkerで小学館コミックの配信がされない状況は変わっていません。
参考までに、3年前の未配信状況もあげておきます。
【各ストア未配信出版社(2012/01/05現在)】
Reader Store:筑摩書房
GALAPAGOS STORE:角川書店 富士見書房 アスキー・メディアワークス 筑摩書房 エンターブレイン
紀伊國屋:ソフトバンククリエイティブ
ebookjapan:光文社 ゴマブックス 新潮社 筑摩書房 (PHP研究所1 中央公論新社15 アスキー・メディアワークス25)
Kindle:徳間書店 白泉社 筑摩書房 岩波書店 河出書房新社 (祥伝社19 少年画報社21)
Kobo:徳間書店 光文社 新潮社 白泉社 筑摩書房 岩波書店 (東京創元社6)
Bookwalker:小学館 徳間書店 秋田書店 光文社 集英社 双葉社 学研 中央公論新社 PHP研究所 ゴマブックス 新潮社 文藝春秋 祥伝社 白泉社 NHK出版 早川書房,筑摩書房,岩波書店,幻冬舎,朝日新聞出版,河出書房新社,東京創元社,扶桑社,二見書房,少年画報社,主婦の友社(学研1)
…だいぶ状況が変わっていますね…。トオイメ…。
まとめ
- 今回で更新は最終回。
改めて状況を振り替えると、ずいぶんと状況が変わった。
まさしく「黎明期の終わり」だと感じた。 - 結局、未配信がいくつか残ったままで終えるのは残念。
GALAPAGOSでKADOKAWAが配信される日は来るのだろうか…。 - そういえば、心の隅に引っかかっていた、「いつ、KADOKAWAを1つにまとめるか」という悩みから解放される…。
- みなさん、ありがとうございました。
【付記:調査方法】
【調査方法】
各ストアにおいて、出版社名で検索し、ヒットした件数を用いている。
なお、詳細検索で「出版社」による検索が行える場合はそれを用いた。
セーフサーチなどの設定はデフォルトのままにした。
Booklive!については、「匿名」さん(弊ブログコメント時の記名)によるデータを使っている。
【配信数調査対象(21社)】
講談社,小学館,徳間書店,角川書店,秋田書店,光文社,集英社,双葉社,ソフトバンククリエイティブ,学研,中央公論社,PHP研究所,ゴマブックス,新潮社,富士見書房,メディアファクトリー,アスキー・メディアワークス,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版
【配信有無調査対象(34社)】
講談社,小学館,徳間書店,角川書店,秋田書店,光文社,集英社,双葉社,ソフトバンククリエイティブ,学研,中央公論社,PHP研究所,ゴマブックス,新潮社,富士見書房,メディアファクトリー,アスキー・メディアワークス,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版,早川書房,筑摩書房,岩波書店,幻冬舎,朝日新聞出版,エンターブレイン,河出書房新社,東京創元社,扶桑社,二見書房,ハーレクイン,少年画報社,主婦の友社
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