2014年4月12日土曜日

本屋大賞 受賞作 電子化率 調査

 2014年の本屋大賞は和田竜「村上海賊の娘」に決まりました
 残念ながら、まだ電子版では配信されていません。

 ということで(?)、過去の本屋大賞受賞作の電子化状況を調査してみました。

 【調査方法】
  • 本屋大賞全11回の大賞受賞作および受賞作(ノミネート作?)の毎年10ないし11作品、あわせて121作品を対象とした。
  • 以下の5ストアで検索し、3ストア以上で配信されていたものを「配信中」とした。
     2ストア以下の場合は△で記した。
    • Kindle
    • Kobo
    • 紀伊國屋書店
    • Reader Store
    • Bookwalker 
  • 検索には電子書籍ストア一括検索を使用させていただいた。

全体の結果

※1:Kindle、Koboのみで配信。
※2:有川浩氏の作品はKindleでの配信はなし。
※3:Kindle、紀伊國屋にて予約受付中(4/18配信予定)


 全体では112作品中73作品が電子化されており、65%の電子化率でした。
 (※△とした2作品は配信としてカウント。以下の集計でも同様)

 このブログで毎月報告しているように、ストア間での配信作品差はほとんどなくなっています。
 この調査でも、ほとんどの作品は、Kindle、Kobo、紀伊國屋、Reader Storeの4ストアで配信されており、まれに、Reader Store、Koboのどちらかで配信されていない作品がありました。Bookwalkerは、未配信出版社もあるため、半分程度の配信でした。
 そのため、△を付けたのは2作品(「博士の愛した数式」と予約中の「舟を編む」)だけでした。

著者別

受賞した著者は全部で72人でした。
 そのうち、2回以上受賞した著者の受賞作品電子状況を表にしました。
 著者別で見ると、積極的な人、そうでない人の差がある程度見て取れます。

 ついでに、受賞者72人の中から小説の電子化をしていない著者を探してみました。
    • 百田尚樹
    • 東野圭吾
    • 宮部みゆき ※1
    • 梨木香歩
    • リリー・フランキー
    • 古川日出男
    • 川上未映子 ※2
    • 村上春樹
    • 高野和明
    • 長岡弘樹
 ※1:「宮部みゆきの江戸怪談散歩」(編集責任)と「ぱんぷくりん」(黒鉄ヒロシとの共著による絵本)は電子化済。  
  ※2:エッセイ集「人生が用意するもの」は電子化済。

出版社別

 出版社別の差異です。
 25出版社のうち、2作品以上が受賞している出版社を表にしました。
 ポプラ社が電子書籍の配信0なのを除いて、極端に大きな差異はないと言えそうです。

受賞年別

 受賞年別の電子化率です。

 10~11作品という少ない数で見ていることもあり、乱高下が激しいです。
 しかし、全体としては横ばいで、昔の作品ほど電子化されてる/最近の作品ほど電子化されているという傾向は見て取れません。

順位別

 最後に、受賞順位別の電子化率です。

 普通に考えれば、上位の作品ほど電子化されているはずです。
 実際、2~6位の作品は73~82%(全11回中8~9作品)が電子化されているのに対し、9位・10位の作品は55%(同6作品)しか電子化されていません。

 一方、1位の大賞受賞作品は55%と全11回中6作品の電子化でした。

まとめ


  • 本屋大賞受賞作品全体の電子化率は65%だった。
  • 受賞年や出版社での差異はほとんど見られなかった。
    • 売れる作品であれば、どこの出版社もそれなりに積極的に電子化していると思われる。
    • その際、古い/新しいも関係ないのだろう。
  • それに対して、作家ごとの電子化の差は大きい。
  • 大賞作品の電子化率は、2~6位の作品に比べて低い。

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