2013年11月9日土曜日

電子書籍 各ストア 出版社別 冊数調査(2013/11/09) & 1年前を振り返って


 こんばんは。
 毎月恒例、電子書籍の配信数調査の報告です。

 私が調査を始めてから、ちょうど、1年になりました。
 今回は、最後に1年前との状況比較も少し入れたいと思います。

配信数の推移

まず、はじめに、調査開始からの21社分の合計配信数の変化です。





 先月、おかしな動きをしたのがhontoです。
 hontoは、7月頭までは、トップの数字を出していたのですが、7月頭から配信数が減少しはじめ、ebookjapanに抜かれる形になりました。
 それが、先月、具体的には10/19~10/26の一週間で6000冊もの増加を果たし、また、ebookjapanを抜いて、トップに躍り出ました。
 不思議なことに、7月までの増加ペースのほぼ延長上に復帰しています。

 この様子から、7月頭に、配信方針の変更があり、10月下旬に、また、以前の配信方針に戻ったのではないかと推測されます。
 具体的には、42円、53円などの小単位での配信が、一時的に減っていたのではないかと思います。配信タイトルや価格までは記録していないため、確認することは出来ませんが、あとで述べる出版社別の増加数でもそれが裏付けられます。

 他に、おかしな動きをしているストアとしては、Reader Storeがあります。こちらは、10月最後の週に大きく配信数を減らし、次の週に復活しました。
 配信内容を見ると、一部を除く秋田書店の配信が停止していたようです。おそらくは、epubへのファイル形式の入れ替えではないかと思われます。
 …こういうのは、ちゃんと告知をしていただけないものかと…。

 他のストアはおおむねこれまで通りのペースです。
 Kindleは、増加ペースが他ストアに近づいてきたようです。このまま、紀伊國屋・Reader Storeと近い数字に落ち着く感じでしょうか。
 Koboはその少し下で、まだ猛追中です。

出版社別増加数




 こちらでもhontoの大幅増加が目立ちます。増加が目立つのは角川書店、中央公論新社などで、どちらも、hontoで小単位での販売を行っている会社です(両社の検索結果:角川書店中央公論新社)。
 ここからも、おそらく、小単位での配信を復活させたのではないかと想像できます。

 先月、「増加ペースが増してきた」と書いた講談社は、その傾向を継続中です。

 そのほかでは、Koboが光文社を大幅に増加させています。
 秋田書店は、Reader StoreとKindleでめだって増加。Reader Storeについては、上で書いたように、ファイル形式の入れ替えがあったようです。ファイル形式が変わったことで、これまでより配信数が増えました。

現状配信数



 現状の配信数です。
 増加があったReader Storeの秋田書店は、ファイル形式変更によって他のストアに追いついた状態。
 Koboの光文社は、先月は180冊程度で、そこから他社に追いついています。
 こちらからも、Koboの配信数が他社に追いつきつつある様子が見て取れます。

未配信出版社

 【各ストア未配信出版社(2012/11/09現在)】
GALAPAGOS STORE:角川書店,富士見書房,アスキー・メディアワークス,筑摩書房,エンターブレイン
ebookjapan:ゴマブックス,新潮社
Kindle:岩波書店
Kobo:岩波書店
Bookwalker:徳間書店,光文社,学研,ゴマブックス,新潮社,文藝春秋,白泉社,NHK出版,岩波書店,幻冬舎,二見書房,(祥伝社4)
BookLive:(筑摩書房5)
【配信開始分(2012/10/05→2013/11/09)】
Bookwalker:祥伝社(0→4),早川書房(0→467),筑摩書房(0→325)
Booklive!:筑摩書房(0→5)

 筑摩書房が、Bookwalker、Booklive!でも配信を開始し、これで、未配信のストアはGALAPAGOS STOREだけとなりました。
 筑摩書房と同様に未配信ストアが多かった岩波書店の動向が注目されます。


この1年間の配信状況の変化


 はじめに述べましたが、今回で、私が調査を始めてからちょうど一年になりました。
 そこで、1年前から今までの状況を振り返ってみたいと思います。

 まず、1年前の配信状況です。



 1年前は、Kindleは上陸直後、Koboも上陸4ヶ月後、ebookjapanはコミック専門から一般書に配信を広げ始めた直後、Bookwalkerは角川グループ(現・KADOKAWA)専業の状態でした。

 最近の傾向と比べると、出版社ごと・ストアごとのバラツキが大きいのがわかります。
 Koboは未配信の出版社が大半ですし、Kindleも未配信が多く、配信している出版社も他より少なめでした。
 選考していた4ストアと、その他のストアの差が非常に大きかったことがわかります。


 これが、現在の配信数に比べて、どの程度だったかを見てみます。



 1年前の配信数の、現在の配信数に対する比です。

 出版社ごとに見た場合、講談社は、先行ストアで8割弱、Kindle、Koboで2割~3割。これは、他社に先駆けて多数の本を配信していたことの表れです。
 それに対して、集英社は、先行ストアでも4割弱。逆にいえば、この一年で配信数を3倍近くまで増やしたことになります。小学館、白泉社といった同じグループの出版社も同様の傾向です。

 その他の出版社は、50%台の数字が多く、この1年で、ほぼ倍増させたことになります。

 つづいて、この差をグラフで示します。


 見にくいグラフで申し訳ありません。各ストアごとに、1年前と現在の配信数が交互に並んでいます。
 この1年で、先行ストアも多く配信数を伸ばし、1.5倍以上になっています。さらに、講談社1社が多かった状態から、出版社のバランスも変わりました。
 Koboも、1年前と比べると、見間違えるような配信数になりました。

 その分、ストア間の配信状況の差が縮まっているとも言えます。


 現状の配信数も、紙の本との比較という意味では、充分とは言えませんが、それでも、1年前に比べると格段に状況は良くなってきています。
 1年前には、あまり力を入れていなかった出版社が、どんどん配信をするようになっています。
 また、ストア間の差が縮まっており、どのストアでも同じものが買えるようになってきています。
 そうなると、ストアは、どのように戦っていくのか。圧倒的な知名度を誇り、4割のシェアを持つというKindleが有利なようですが、そこにどう対抗していくのかというのが今後の注目点になると思います。

まとめ


  • hontoが変な動き。一時期、減らしていた小単位での配信が復活か。
  • 講談社の配信ペース増加は継続。その他も順調に増加中。
  • この1年は電子書籍の配信状況が激変した一年だった。
    思えば遠くへ来たもんだ。


以上。

3 件のコメント:

  1. 調査1周年おめでとうございます。
    継続は力なりですね。
    このまま何年か続けていたら、学術論文にも使われるような貴重な資料になるかもしれませんね(^^)
    個人的にはkindleの淡々とした増加ぶりが力強く感じます。
    もっと早く増加してくれると、自炊せずに済むのですが。
    今後も毎月楽しみにしております。

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  2. このデータは凄いですね。 とても参考になります(^_^)ノ
     わたしは小説はKindle、漫画はeBOOKjapanで使い分けてます
     今後はどんどん電子書籍の時代が来ると思うのでこのデータは電子書籍サイト探しに役立ってくれると思います

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  3. kindleの伸び率がすごいですね

    自分は、amazonインスタントビデオが先月末始まったのに伴い、品揃えでいかにhuluやdビデオにキャッチアップしようとしているか見ていますが、そちらも面白いです。一週間経っていませんが数百点増えています

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