2013年7月7日日曜日

電子書籍 各ストア 出版社別 冊数調査(2013/07/06)

 おはようございます。

 毎月恒例としている(…というか、これぐらいしか更新されていない(汗))電子書籍配信状況調査です。
 ちょっと今回はいろいろ見てみました。

配信数推移


 まず、調査開始からの各ストアの推移から。

 先月は、Kindle、Kobo、Bookwalkerが大きく増加しました。
 前回の更新時に、「Koboは、月末になぜか増加する」と書いたのですが、今回は、月末の勢いのまま、月の前半を過ごしました。逆に、月末は息切れ気味。
 「月末に増加する」というのは、ただの偶然だったようです。

 他に特徴的な出来事としては、Kindleの配信数が、ほぼGALAPAGOS STOREに並びました。
 ここでの調査は、私が選んだ21出版社の合計であり、目安程度の数字ですが、それでも、Kindleの配信数が先行ストアに追いつきつつあるという証拠だと思います。
 少し意外だったのは、先行ストアに近づくにつれて、増加ペースが鈍ると予想していたのですが、調査開始からほぼ一直線で増加しており、ペースは鈍っていません。
 このまま増加して、配信数でも他ストアの追随を許さない状況になるのか。注目したいと思います。

増加数



上でも述べたように、増加数はKindle、Kobo、Bookwalkerが大きく増加しました。
 特に、Koboは、約7200冊と、同社最高だった昨年12月の大幅増(約6200冊)を上回るペースで増加しました。
 三木谷社長自ら出版社に協力を要請した効果が出始めているのでしょうか。

 また、それらの陰に隠れてはいますが、Reader Store、紀伊國屋なども、3000冊台と、かなりの配信増加をしています。




 増加の内訳です。
 大幅に増加したKindle、Kobo、Reader Store、紀伊國屋は、小学館と秋田書店が主な要因です。Koboは角川の増加も大きいです。

 一方、同じく大幅に増加したBookwalkerは、半分以上を講談社が占めています。こちらは、角川グループ外に広げた配信開始が継続している感じでしょうか。

現状配信状況



 小学館が増えたReader Store、紀伊國屋書店、Kindleは、小学館の配信数で他ストアと少し差がついたようです。

 一方、秋田書店は、Kindle、Koboで大幅に増加しましたが、これで他ストアと同等になった状態です。
 Koboの角川も同じように、大幅増加で他ストアと同等になりました。


 このように今月も、各ストアの差がますます小さくなっているように見えます。
 …ということで、調査開始からの約半年を振り返って、ストア間の配信数バラツキを調べてみました。


出版社ごと推移-ストアのバラツキを中心に-

まず、初めに、各ストアの出版社の配信数の推移です。
 角川グループ中心のBookwalkerとタイトル数でしか配信数がわからないBooklive!は除いて、以下のストアの単純な平均を取りました。

  • honto
  • Reader Store
  • GALAPAGOS STORE
  • 紀伊國屋書店
  • ebookjapan
  • Kindle
  • Kobo
  平均を取っているため、配信ストア数が少ない場合は、数が小さめに出るのには留意が必要です。


 このグラフ、今回、初めて出すと思うのですが、出版社ごとに動きが違って、興味深いです。
 もともと多く配信していて、その後順調に数を増やしている講談社。
 それに対して、この半年で大幅に配信数を増やし、以前の2.5倍程度になっている小学館と集英社。


 今回は、各出版社で、ストアごとのバラツキがどうなっているかを見てみたいと思います。
 まず、出版社のストア配信数標準偏差を取ってみます。対象は上で挙げた7ストアです。


 ほぼすべての出版社で、右肩下がりに、バラツキが小さくなっていることがわかります。
 唯一、角川書店だけが、ほぼそのままです。

 講談社や小学館は標準偏差が大きいですが、この2社は配信数も多いのでバラツキが大きくなるのは当然…というあたりを比較するために配信数平均で割りました。
 その推移のグラフが以下になります。



 こちらでは、角川書店も含め、全出版社が右肩下がりになっています。

 講談社と集英社は、もともと差別なく各ストアに配信しており、この半年で、さらにバラツキが小さくなっています。
 一方、小学館や秋田書店は、調査開始時は、ストアごとのバラツキが大きかったのですが、この半年で、大幅に小さくなっています。
 小学館は、3月の紀伊國屋書店への配信開始、秋田書店は最近数ヶ月のKindle、Koboへの配信増で、グラフが階段状に動いています。

 角川書店は、依然としてストア間バラツキが大きいように見えますが、これは、GALAPAGOS STOREに配信していないのが大きな要因で、それ以外のストアにはまんべんなく配信しています(上の「出版社別配信数」折れ線グラフ参照)。






 調査している全ストアの現状の配信バラツキ状況です。
 比較的まんべんなく配信している出版社と、そうではない出版社、2極化している状況が見て取れます。
 比較的バラツキが少ないのは、以下の出版社でしょうか。

  • 講談社
  • 小学館
  • 秋田書店
  • 集英社
  • 中央公論社
  • PHP研究所
  • メディアファクトリー
  • 文藝春秋

 
 一番バラツキが大きいのは徳間書店で、hontoの約7000冊(※「数十円で1話」のように小単位で売っているのものも含みます)が最も多く、間に2000冊程度のストアをはさんで、Kindle(122冊)、Kobo(0冊)まで差が大きくあります。
 一方、一番バラツキが小さいのは文藝春秋で、全ストアが1403冊~1458冊の間に入っています。これは見事。利用者の立場からすると、非常にありがたいです。

各ストア未配信出版社

【各ストア未配信出版社(2012/07/06現在)】
GALAPAGOS STORE:角川書店,富士見書房,アスキー・メディアワークス,筑摩書房,エンターブレイン
ebookjapan:双葉社,ゴマブックス,新潮社
Kindle:筑摩書房,岩波書店
Kobo:徳間書店,筑摩書房,岩波書店
Bookwalker:徳間書店,光文社,双葉社,学研,中央公論社,ゴマブックス,新潮社,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版,早川書房,筑摩書房,岩波書店,幻冬舎,東京創元社,扶桑社,二見書房,(PHP研究所14,主婦の友社24)
BookLive:筑摩書房,

【配信開始分(2012/06/01→2013/07/06)】
Reader Store:筑摩書房(0→128)
紀伊國屋書店:ソフトバンククリエイティブ(0→239)
ebookjapan:中央公論新社(15→1577)
Kindle:白泉社(0→720)
Kobo:東京創元社(18→31)
Bookwalker:集英社(27→204)

【配信停止(?)分(2012/06/01→2013/07/06)】
ebookjapan:双葉社(2869→0)

 先月は、各ストア、配信開始が非常に多かったです。
 Reader Storeで筑摩書房配信開始、紀伊國屋書店でソフトバンククリエイティブ配信開始で、この2ストアは、調査している34社での未配信出版社がなくなりました。
 これで、hontoも含めて、3ストアが「未配信出版社なし」になりました。
 
 他に、大きな動きとして、Kindleで白泉社の配信開始、Bookwalkerでの集英社配信開始がありました。
 Bookwalkerで集英社が配信開始しましたが、現状、ライトノベルのみで、コミックはほとんどありません。これは、先に配信開始している小学館でも同じ状況です。一方、講談社はコミックも普通に配信しており、出版社ごとに方針が別れているようです。

【追記 (2013/07/09)】
ebookjapanでの双葉社の配信について、検索にはヒットしませんが、出版社一覧から見ると、2639冊が配信されているようです。(検索の不具合?)
下で、コメントを頂きましたので、ここにも追記しておきます。

まとめ

  • Koboが大幅に増加。過去最大級。
  • KindleがGALAPAGOSに追いつく。しかも追い上げるペースは変わらず。
  • ストア間バラツキは小さくなる傾向が継続。
  • 過去半年のストア間バラツキを調査した。
    各社バラツキが小さくなる傾向。特にこの数ヶ月は大きな動き。
  • 文藝春秋、ばらつきが少なくてスゲー。
  • Reader Store、紀伊國屋で、「(調査対象34出版社で)未配信なし」達成。

付記:調査方法

各ストアにおいて、出版社名で検索し、ヒットした件数を用いている。
なお、詳細検索で「出版社」による検索が行える場合はそれを用いた。
セーフサーチなどの設定はデフォルトのままにした。

【配信数調査対象(21社)】
講談社,小学館,徳間書店,角川書店,秋田書店,光文社,集英社,双葉社,ソフトバンククリエイティブ,学研,中央公論社,PHP研究所,ゴマブックス,新潮社,富士見書房,メディアファクトリー,アスキー・メディアワークス,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版
【配信有無調査対象(34社)】 講談社,小学館,徳間書店,角川書店,秋田書店,光文社,集英社,双葉社,ソフトバンククリエイティブ,学研,中央公論社,PHP研究所,ゴマブックス,新潮社,富士見書房,メディアファクトリー,アスキー・メディアワークス,文藝春秋,祥伝社,白泉社,NHK出版,早川書房,筑摩書房,岩波書店,幻冬舎,朝日新聞出版,エンターブレイン,河出書房新社,東京創元社,扶桑社,二見書房,ハーレクイン,少年画報社,主婦の友社

2 件のコメント:

  1. ebookjapanの双葉社は、双葉社で検索をかけるとなぜか引っかからないんですが、販売はされているようです。検索のシステム不具合か何かでしょうかね?
    http://www.ebookjapan.jp/ebj/publisher.asp?publisherid=400133

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  2. あっ! 本当ですね。
    変な不具合ですが…。配信停止ではない由、追記しておきます。
    ありがとうございました。

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